2017年海外宣教委員会

海外宣教委員会は、今年パキスタン、フィリピン、韓国を訪問し、その様子をニュースレターでお知らせするほか、2月に行われるミッションデーで宣教地の紹介とご支援の依頼、現地報告会などを行ったほか、支援バザーとコラボレーションして配布物を観てもらうなど新しい企画に関わることで、委員会の活動の可能性を模索しました。

継続している活動では、フィリピンのフランシスカン・デフセンター、パキスタンのハンデキャプセンター「ラハト・ガ」支援を今年も行いました。支援活動も現地から宣教している兄弟が一時帰国した際に報告会でお話をしてもらうなど、現地の様子や宣教の苦労をより知ってもらう機会にしています。また、2017年度から海外宣教委員会は専従で働くスタッフを事務所に置かない形で、定期的に事務所に集まり、宣教地の訪問計画、ニュースレターの編集会議、現地報告や支援の計画などを行うことになり活動を続けています。理由は、小教区との兼任のスタッフが増えたためです。しかし、問い合わせなどについては巻末の連絡先にファクスなどがあれば対応は可能で、大きな支障は出ておりません。各委員が地方の小教区に派遣されている点で、プラスに働いているのは、従来は首都圏での報告会が多かったのですが、今年は旭川や富山などでも報告会が行われるなど開催に幅ができた点です。

2018年は、従来の活動に加え、今年訪問できなかった宣教地の様子や宣教師の近況を届けるとともに、他の企画の可能性を探る年にしたいと考えています。

海外宣教委員会一同

海外宣教委員会ニュース3月6日号

2016年度も、フランシスカン・ミッションデーのポスター、チラシの配布、ニュースレター発行のほかに、二つの奨学金支援プロジェクト(フィリピン・フランシスカン・デフセンター、パキスタンのハンデキャップセンター)を継続して行い、宣教師を派遣している韓国、中国、イスラエル、フィリピンを訪問しました。

17212242_307720729643435_1151232863400129295_o 二つのプロジェクトについては、フィリピン・フランシスカン・デフセンター(聾者の教育センター)の奨学金受給者は順調に進級、進学しており、パキスタンのハンデキャップセンターも順調に運営されています。

2016年は休暇で兄弟松本貢四郎が6月に一時帰国し、講演会も行い、支援に対する感謝の気持ちを述べ、現状報告を行いました。 17265156_307721859643322_7299983453559696688_n

また、派遣先の中国、韓国訪問や10月には兄弟新直己の派遣先のイスラエルを訪問しました。イスラエルは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地のある場所ですが、今年は特別聖年の巡礼者の世話のため、兄弟新直己は立ち働いていました。

今年度も委員会の活動および海外の兄弟が宣教できたのは支援してくださる皆様のおかげです。感謝とともに今後も海外で宣教する兄弟をご支援とお祈りをお願いいたします17240071_307722112976630_4266395712770360806_o

フランシスカン海外宣教の日 2017年2月5日

イスラエルで宣教する兄弟フランシスコ新直己(あたらし なおき)の声(2014年からイスラエルで宣教)

フランシスコ会聖地管区の主な使命は、まず存在することです。これは、イエス・キリストおよび初期のキリスト教ゆかりの地の管理を教皇庁からまかされているので、あちこちで私たちの茶色の修道服を見かけることができます。

聖地の主な聖所はフランシスカンが管理しています。そして聖所を巡礼者や旅行者が見学できるように開放し、聖堂では簡単な説明、案内や、ミサを行うグループのために準備をします。場合によっては巡礼グループに同行し、ガイドをすることもありますが、最近はガイドの免許が求められるようになってきているので、その資格を持った兄弟たちもいます。つまり、聖地での主な役割は聖所の管理、保護と巡礼者のお世話ということになります。

私は、日本語でいうと「山上の聖ヨハネ教会」に居住しています。ここは、洗礼者聖ヨハネ出生の地で、巡礼者に開放し、午前と午後、修道院の誰かが当番制で世界中なら来る巡礼者のお世話をします。私たちの共同体のメンバーは9人で、その内5人は哲学生、養成修道院でもあります。彼らは哲学を学ぶ二年間ここに住むほか、聖堂での服務を交代でしています。

巡礼での典礼は様々な国、民族が独自の礼拝形式を持ち込みますから、巡礼者が多いい時には統制がきかなり、予定の時間を超えることやいろんな問題が起こります。日本的な気配りといったものはなく、互いの主張が強いので、いつも時間通りに聖堂を閉めることができません。

現在、私は、週三回ほどボランティアに行っています。一つは近所のビンセンシオ・パウロ会のシスターが運営する障害者児童施設、他の日は地元の一般障害者施設です。他に正統派ユダヤ教徒の施設の炊きだしに週に一度のペースで行っています。ここでの難しさ一つとして、コミュニケーションを全て外国語、それも何ヵ国語も使わなければいけないので時々疲れますが、それなりに楽しいです。できれば長くこの場所にいたいと思っています。(2017年2月5日)

海外宣教ニュース 2016年12月4日(1)

フィリピン・フランシスカン・デフセンター訪問

8月27日から9月3日まで、海外宣教委員会はフィリピンで聾者のための奉仕をしている兄弟佐藤宝倉と奨学金プロジェクトの支援先であるフランシスカン・デフセンターを訪問しました。 フランシスカン・デフセンターはマニラに近いケソン・シテイの事務局と教育者の育成のためのセンターとサマール島カルバイヨグ市にあるフランシスカン・デフセンター(聾者の教育センター、以下デフセンター)の2か所がありますが今回はカルバイヨグのセンターを訪問取材しました。

センターを訪問した海外宣教委員と生徒たち

カルバイヨグのセンターは、正式な寮としての基準を満たした学生寮(女子学生)と教室のある施設です。男子学生は、センターの至近距離にある下宿から、食事の時間にセンターで朝食事をしてから通学し、放課後センターで夕食を済ませて下宿に戻ります。 さて、毎年訪問するたびに支援先のデフセンターは、設備やプログラムが整備されている印象を受けます。これは、センターのスタッフの努力と多くの人の支援の賜物といえます。また、設備やプログラムの充実はセンターに寄宿し学ぶ子供たちや、生徒や奨学金を受給しカルバイヨグ市内のクライストキング・カレッジ(以下CKC)の付属小学校、高校に通う生徒の学習の効率化や学力向上につながっています。この5年ほどの間、単位を落とす生徒はゼロです。以前、補習をするにも教室やパソコンが不足していましたが、プロジェクターなどの機材も充実した今は、手話の反復練習や授業の予習復習に十分な施設のが整備され、今年度、全員進級・進学をはたしています。 さて、こうして無事に高校や大学を卒業しても長年の課題である卒業生の雇用は、フィリピン社会が高い失業率のため、ハンデキャッツプを持つ人の雇用が少ないフィリピンでは就ける職業が聾学校教員、マッサージ師、ファーストフード店バックスタッフなど今も選択肢が少ない状態です。生徒達の未来を切り開いてゆくのも継した課題です。

佐藤神父とセンターの生徒たち 

 さて、訪問中、奨学生と保護者の交流会が行われました。生徒と保護者が大勢集まりました。保護者代表からは、「子供達は、経済的に苦しい家の子供が多く、日本からの奨学金受給に感謝しています。 今後も経済事情の苦しい生徒のためにプロジェクトの継続お願いします」と感謝と継続のお願いがありました。

 

フィリピンは日本のように通学のための交通手段が地方では豊富でないため山間部の子供たちは市街地の学校に通学できません。また、そうした集落は第一次産業(農業・漁業)に従事する人々が多く、その収入で私学に通わせるのが困難なため、奨学金を受けて寮から通学するのが現状では最良の方法なので、保護者代表の言葉はその現状を物語っています。

奨学生と保護者の集いの集合写真

センターが目指す方向性は、将来的な聾者の自立ですが、こうしたプランが形になるのには時間が必要です。 現在、支援を受け、高校、大学を卒業した中にも職業訓練所や教員養成コースの就学中で、資格や技能を身につけて 社会に出て働き始めて初めて成果が現れますが、それだけが目的ではありません。

佐藤神父によると、「聴覚障害者の自立と手話を通じた奉仕者や教員の養成」も目標にあげています。それは、単に自立できればよいのではなく、同じような対場の人を助けることのできる人材を育成していくということです。そのために寮では奉仕の精神を養うような企画や宗教教育、黙想会なども実施しています。センターは、口コミもあり、毎年新しい生徒がやってきますし、地元の公立の聾学校の小学校を卒業した生徒も高校のクラスがないためCKCの付属高校を受験します。それは単に、聾者のための
高校以上のクラスがCKCだけにあるからではなく、教育内容が充実してきていること、や宗教教育、奉仕の精神などをはぐくむ環境があるからでもあります。

また、学ぶ生徒たちも将来的に聾者を雇用する企業に就職するというものから、資格を取ってより条件の良い仕事に就くために学ぶケースが増えているのと、実際にセンター出身者の教員が公立の聾学校の教員になってミンダナオ島のダバオなどで働き始めており、少しではありますが目標の一つである聾者の自立が形になってきています。

教室訪問の時は歓迎のパネルで迎えてくれた

 最後に、センターで学ぶ生徒たちの努力やスタッフの尽力には訪問するたび頭が下がりますが、今後もこうした支援ができるよう紙面でも協力を呼び掛けていきたいと思います。 海外宣教委員会

海外宣教ニュース 2016年12月4日(2)

聖地にいる兄弟新直己からの近況報告

2016年10月、海外宣教委員会は、聖地で生活している兄弟フランシスコ新直己(写真右)を訪問しました。 現在、兄弟新はエイン・カレム(聖母マリアのエリザベトご訪問の地)の共同体に派遣されて、3年目を迎えています。元気そうな様子で、近況を分かち合ってくれました。後日、本人から皆様宛にメールが届きましたので、以下に掲載いたします。

『何から書いていいやらわかりませんが、とりあえずこちらでの日常の生活について書いてみたいと思います。宣教師というと、何だか地の果ての大変なところへ入っていて苦境をしいられながら、大変な生活をしているというイメージがあるかもしれませんが、ここでは日本にいたころと同じように至って平凡な修道生活を送っています。以上・・・。というわけにはいかないと思うので少し何をしているのか具体的に書いてみます。

フランシスコ会聖地管区では何を主な使命/お仕事としているかというと、まず存在すること。キリスト教ゆかりの地の管理を教皇庁からまかされているので、カトリック教会の代表としてあちこちで茶色の修道服を見かけることができます(主な聖所はフランシスカンが管理しています)。そして聖所を巡礼者や旅行者が見学できるように開放します。聖堂にいて簡単な説明、案内や、ミサを行うグループにはその準備をします。場合によっては巡礼グループに同行し、ガイドをすることもありますが、最近ではガイドの免許が求められるようになってきているので、その資格を持った兄弟たちもいます。

洗礼者聖ヨハネ教会

いずれにしてもここ聖地での主な役割は聖所の管理、保護と巡礼者のお世話といったところでしょうか。ここ山上聖ヨハネ教会も同様です。洗礼者聖ヨハネ出生の地がここにはあるのでそこを一般に開放しています。そのため午前と午後、修道院の誰かがもちまわりで服務にあたります。世界中から巡礼客が訪れます。それぞれの民族が独自の礼拝形式を持ち込みますから、余りに聖堂に巡礼客がごったがえす時には統制がきかなくなりいらいらします。気配りなんてどこの國の話?今日もなかなか時間どおりに閉めることができませんでした。

さて、ここでの主な役割は以上のように聖所の保護管理なのですが、今ここのメンバーは9人、その内5人は哲学生、養成修道院でもあります。彼らは哲学を学ぶ二年間ここに住むことになるわけですが、毎日聖堂での服務を交代でしているので、毎日ここに縛られているわけでもなく結構時間もあるので、来たばかりの頃はヘブライ語の授業に通っていました。今はむしろ実践するようにしています。

聖母マリアのご訪問の教会

その他に週三回ほどボランティアに行っています。一日は近所のビンセンシオ会のシスターがやっている障害者児童施設(アラブ系、ユダヤ系、外国人がいます) 他の日はもう一つの障害者施設、これは地元のもので、すべてユダヤ人、アラブ人で教会関係ではありません。他に正統派ユダヤ教徒の施設の炊きだしに週に一度のペースで行っています。とにかく機会があればわからなくてもできるだけヘブライ語で話すようにしています。ここでの難しさ一つとして、コミュニケーションを全て外国語でやらなければいけないので、いつまで経っても何語も満足に話せない自分は子供のように感じます。それに何ヵ国語も使わなければいけないので時々疲れますが、それなりに楽しいです。

全体的にここでの生活はほとんどストレスがなく、のんびりとしています。できれば長くこの場所にいたいと思っています。イスラエルと聞くといつも戦争をしているイメージがあるかもしれませんが、そうではありません、エルサレム中心街から8キロほど離れたここでは変わらない時間が流れているのです。』

海外宣教ニュース 2016年12月4日(3)

長期宣教から短期宣教へ

-変化する宣教の意識―

10月にベトナムを訪れた海外宣教委員の兄弟元田勝哉は、ベトナムの兄弟たちに宣教についてインタヴューを行い、ベトナムの若い兄弟たちの宣教観の変化についてレポートしてくれました。

私は、この度 10月18日から およそ一週間ベトナムに滞在し、東アジア合同会議(EAC)に参加する恵みをいただきました。対象者は、アジア圏にいる荘厳誓願後10年以内の兄弟で、日本管区からは私と兄弟今井の二名で参加しました。この会議の目的の一つに、アジア圏にいるフランシスコ会の若い兄弟達が早い段階で触れ合い、相手のことを知った上で互いに協力し合える関係を築くことが挙げられます。

EAC会議の集合写真

実際に 今回の会議の参加国と参加者は、総勢で15か国46名というものでした。そのほかに、EACのスタッフなども入れると かなりの規模の会議となりました。他国の様々な状況下にいる兄弟たちに触れ、良い刺激を多く受けました。特に、今回はベトナム管区にお世話になりましたので、ベトナム管区の兄弟たちの「海外宣教」についての考え方や生き方の変化を紹介し、私たちの宣教観を広げる一助になればと思っています。

私は、6年前にも 同じくベトナムで行われた東アジア合同会議(EAC)に参加しています。その当時、ベトナムで聞いた海外宣教の理解は「一生、母国に戻れない覚悟を伴ったもの」で、事実 海外宣教に出たベトナムの兄弟たちは他国で一生を捧げていると伺っていました。しかし、今回 少し違う印象を受けました。それは、「数か月から数年間というスパンで赴く海外宣教ができるようになった」と言うのです。べトナムの兄弟たちの場合、国と政府の政策の変化によるところが大きいのですが、短い期間での海外宣教ができるようになったということは大きな変化でしょう。

今回、このベトナム管区の海外宣教の在り方の変化を聞いて、私たちの海外宣教への理解を広げる良い機会の得たように感じました。なぜなら、私を含め 多くの日本管区の兄弟たちは「海外宣教」と聞くと その兄弟の一生涯をかけたプロジェクトというイメージがあるように思うからです。それも一つの在り方ですが、海外の兄弟達、特にアジアの他管区では短いスパンでの海外宣教が主流となっているように感じましたし、滞在期間が短い海外宣教に積極的な印象を受けました。

これから先、日本であれ海外であれ、他国の兄弟たちと協力していく機会が増えていくことでしょう。フランシスコ会は、間違いなく全世界規模の修道会だからです。他国の兄弟たちとの協力し合える関係を築く機会として、短いスパンの海外宣教も その一助となり得ると知っていることは本当に大切なことだと思います。  トマス元田勝哉OFM